こんにちは。つぐむぐです。以前「チヌが群れで行動し、群れを維持していくためにエサを求めて回遊していく」という話をしたことがありますが、今回はチヌの習性についての第2弾ということで、研究機関による過去の研究成果を見ながらチヌの回遊について少し掘り下げていきたいと思います!あ、ちなみに掘り下げていくといっても難しく考えなくて大丈夫ですよ^^初心者の方でも分かるように、細かい学術的な話は省いて、釣りに必要だと思われる情報だけ書いていきますので。
回遊についての真実
チヌが具体的にどの程度の距離を回遊しているのかについては興味深い研究があります。1986年11月に岡山県水産試験場が岡山県下津井沖で実施した研究です。下津井といえばG杯の決勝の舞台にもなるほどのチヌ釣り場。この実験では35cmのチヌに発信機を取り付け、船でそのチヌの回遊距離を計測するというものでした。驚くべきはその結果でして、チヌを48時間追跡した結果、どれだけ移動していたと思いますか?少し考えてみてください。
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答えはなんと83.5kmもの距離を回遊していたのです。1日約42kmを回遊したことになります。(爆)まさにフルマラソンですよ!やばくね!?僕より体力あるわ!小さい体なのに!1日42km移動できるチヌってめちゃくちゃ凄いと思いませんか?11月という時期もチヌの活性が極めて高い時期なので、このような結果になったのかもしれませんが、それにしてもただただ凄いの一言です。
ちなみに同機関が翌1987年2月に同じ実験を試みたところ、26時間でたった1.6kmの回遊しかしなかったようです。11月の実験の時より、チヌにストレスを与えないなど条件は良かったみたいですが、移動距離は大幅に減少していました。もちろん個体そのものの性格によるのかもしれませんが、恐らく最も大きな原因は、水温だと思います。2月は厳寒期ということで水温が低下しますので、チヌの活性も著しく下がったのでしょう。
秋の実験結果から学べること
この2つの実験結果から、釣り師は何を学びとるべきでしょうか?焦点は当然「移動距離」になります。まず11月の実験から、移動距離が非常に長いことが見て分かります。条件さえよければ、チヌはこれだけの長い距離を移動しているということです。ですから、基本的にマキエをしっかりまいていれば、1日釣っていれば目の前にチヌを何匹も足止めすることができるでしょう。また、たとえ撒き餌で目の前のチヌがお腹一杯になったとしても、時間が経てば、また別の場所から空腹のチヌがどんどんやってくると考えることができます。なので、シーズン中はチヌの満腹具合とかは無視して、しっかりマキエをうって、少しでも長い間1匹でも多くのチヌを足止めしてやろう!って思えます。
冬の実験結果から学べること
一方冬の実験からは何が学べるでしょうか?冬は多くのチヌが水温の安定する深場に移動しています。そのため、フカセ釣りで狙うポイントにはチヌの個体数が絶対的に少なくなります。仮に運よくチヌが近くにいたとしても、まだ問題が残っています。低水温期ほど、チヌの体の代謝が落ちるため、シーズン中に比べてエサを食べてくれません。冬のチヌ釣りでは、目の前にただチヌが存在するだけでは不十分で、同時にやる気のあるチヌ・食い気のあるチヌというのが、自分の攻略テリトリーに存在することがとても重要になるのです。
この時、もし釣り人側にチヌの回遊について十分な知識がなければどうなるでしょうか?少し粘っただけで、「今日は活性が低くてチヌが動かない」、「寒チヌはエサを食べない!」などと、もっともらしい理由をつけて諦めてしまうかもしれません。もう少し待てば空腹のチヌが回遊してくるかもしれないのに!
逆に「チヌが冬ですら1.6kmも回遊する」との知識があれば、心が折れそうになる位寒い日でも、「1日に何匹かのチヌが必ず目の前を回遊していくだろう。その中に1匹は食い気のあるチヌがいるだろう。」と信じて釣りをすることができませんか?「いつかこの我慢が報われる!」と思って釣るのと、「ゴールがくるか分からないけど釣る」のとではメンタル・集中力にも大きな差がでます。これは、もちろん釣果にも影響を与えるでしょう。冬の厳寒期であれ釣り人がすべきことは、集中力をきらさず、いつか目の前を通るであろうチヌを期待し、来たら確実に足止めできるように撒き餌を切らさずに投入ことだと考えます。
まとめ
長くなりましたので、今回の話の要点をまとめます。
・実験したチヌは11月に2日で83.5km、2月には1日1.6kmもの距離を回遊していた。
・高水温期はマラソンランナーみたいに、どんどんチヌが回遊してくるので、しっかりマキエをまいて、やる気のあるチヌを拾って釣って行く。
・厳寒期でもチヌは回遊しているから集中力を切らさず少ないチャンスをものにできるよう撒き餌して備えておく。
以上になります。どんな季節であれ、希望を捨てず、集中力をきらさずに、マキエをまき続けられるかどうかが、結果を分けるポイントになりそうです。釣りに集中するとマキエを打つ手が止まりがちな人は、「チヌの回遊」を意識して撒き餌をしてみてください。では今回はこれで終わります。最後までお読みいただきありがとうございました。
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